COLUMN

藤井誠のゴルフコラム

2019/11/23

ブログ

15年以上も前の話、、、。

GOLF TODAY編集長から小林一人さんという作家を紹介してもらった。

同誌で私をモデルにした漫画レッスンの連載をしようという話をいただき、小林さんはその原作者としての参加だった。

漫画を描いてくださったのは、那須輝一郎さん。

それぞれ初めて同士の3人のチームがそのときできあがった。

数年続いたその連載はほんとうに最高の内容だった。(なぜ編集部はあれをずっと続けなかったのか?いまだに疑問、、、良い内容だったからもったいない!と思う。)

小林一人さんと初めて会ったのは、新宿駅西口近くのデニーズ。

いまでも彼の印象はあまり変わらない。少年のような雰囲気の、とにかく頭の回転が速いなと思ったのを覚えている。

その縁で、その後いろいろな雑誌で一緒に仕事をさせていただくことになった。

そのたび、仕事場で違うジャンルのひとたちに会えたことが、とても新鮮な気持ちにさせてくれた。

そんな中に「アンダー100」というプロジェクトがあったのだ。

いまでこそ誰でも手軽に動画を作ったり、配信したりできる世の中になっているが、少しまえの、、、つまり10年くらい前の事情は違っていた。

あのころから小林さんは映画を作りたいと常々言っていた。そして登場人物、役柄、ストーリーも頭の中にあったようだ。

アンダー100とは、ずっと未来の世界、人類はゴルフのラウンドのスコアで100を切らないと「ひと」として認めてもらえず、悲しい生活を強いられる。なので、国民はとにかく100を切れるように努力する、、、という設定の物語。

この発想が面白い。

登場する人物はたったふたり。そのうちのひとりが100というスコアを切らせるためのゴルフコーチ。名前をハナブサ誠と言う。これが俺の役。

もうひとりはレッスン受ける側で本物のツアープロの和田正義さん。

とにかく今思い返してもそのときの撮影は楽しくてたまらないモノだった。

ひとりでなんでもこなす小林さんはいつも忙しい人間で、ゆっくり打ち合わせする時間とかあまり取れない人。

「こんな内容で撮影するから」って台本をメールしてくれ、俺はそれをプリントアウトして、撮影当日の朝早く、高速道路のサービスエリアのレストランの椅子に座り読みこんだ。

その数日前にふたりでアメヤ横丁に行き、古着屋さんでアメリカ軍人が着ていた軍服を買い、それを着て撮影現場に来てくれと言われていた。

とにかく、台本を読みながら、俺は小林さんの思い描くハナブサの姿をイメージし、身体の動き方や話をしている自分を想像してみた。撮影に使用したコースで初めて和田プロに会った。

彼は寡黙な青年。

小林監督の他はカメラマン、そして音声、、、つまり演者ふたりを入れて合計5人。

日が暮れるまであっという間、、、笑いながら、スムーズにすべての回の撮影をこなした。

コースの中のあちこちを使って、そのストーリーに合う場面を作っていった。

ハナブサの演技はのちに小林さんが怪演と表現してくれたが、まさしく俺の中に誰かが降りてきたと感じるくらい自然に動くことができた。ゴルフのプレーにあてはめたらすべてが淀みないナイススイングでナイスショットして18ホールを終えたようなものだ。

なぜあのような演技ができたのか、、、自分でも謎であったが、とにかく作品は最高にものに仕上がった。東京MXTVで一定期間毎週土曜日の朝放送されたのだが、もし今の時代にCS、またはBS等で流れたら相当インパクトがあり人気が出たと思う。

さて、いま自分はゴルファーとして生きていくと決めて毎日の生活を送っている。 送っているといっても「これがおれのゴルフ道だ!」と腹の中で決め、それをしっかり外に発信をできているかは疑問だ。

ゴルファーとしての生き方は多方面にいくつも考えられるので、これだ!がないとなんだかわからないものになってしまうように思う。

先日、小林一人さんと久しぶりに電話で話をしたときにまさしくこの部分のポイントを指摘された。

俺が持っている「ゴルフ」における能力とは何なのか?

それを自分でジャッジして形を作っていくのはけっこう難しい。

ひとのパッティングラインは見えるのだが、自分のラインはどうもはっきり見えない場合がある、、、それと似ているかな。とにかく自分で自分のことを客観的に見るのはむずかしい。

小林監督曰く、俺は演者として動くことをやり続けるべきだと。

そうして活動しているうち、ゴルフ界にいまよりももっと貢献できるようになるのではないか?

もちろん自分のゴルフも更に研究し、良くなっていくにちがいない。

ひとは生まれて目が開く前の何もわからないうちに誰かに名前を付けられてそのまま成長をしていく。 大人になるにしたがい、自分の中にどんな才能が眠っているのか気づく人、気が付かない人いろいろある。

例えば今売れている演歌歌手(別にロック歌手でもいい)の誰かさんはデビュー前に本名で歌っていたはずだ。それが大先生に曲を作ってもらい、芸名をつけてもらい、衣装も揃えてもらい、ステージに立つようになる。

それを見て感動する人が多ければ、その後その歌手は成功していく道を歩くことができる。

自分以外の誰かが作ってくれたものによって自分の才能の花を咲かせることができたってことだ。

俺も含め、何かのきっかけで才能を開花させる化学反応が起こるのを待っている人間はたくさんいるような気がする。

ゴルフの啓蒙活動は俺がいままでもこれからもやりたいことの第一。

そこで「ハナブサ」になりきり、その目的に向かって動くことがこの先あるかもしれない。いや、今だからこそやってみたい。

小林監督が俺に言った「良い演出家と組むことが重要」、、、これはゴルフや歌手といった分野のプロに限らず、皆にとって少なからず必要なことだと思う。

ハナブサ復活に、俺が一番期待している 。